2008/03/01
「迷子」


大阪市内の某有名商店街の旅行会は
ここ数年、私が担当してるんですが、
毎年、40才代〜70才代の方まで60人前後で、
とっても賑やかな旅行会になるんです。

昨年の秋の旅行会は伊勢神宮でした。

お参りの後の散策、バスに戻ろうとしたところ
ふと気付くと、YさんとTさんが見当たらないんです。

YさんとTさんは共に60代後半の女性、
皆で、彼女たちのスピードに合わせて歩いていたのですが・・・

早速、携帯で連絡を取ったのですが、
Yさんの携帯『トゥルルゥー、トゥルルゥー、トゥルルゥー』(誰も出ません)
Tさんの携帯『電波の届かない処におられるか、電源が・・・』

しかたなく、
年配の方々をバスに戻して、
若い方々を中心に2人を探しに出たんですが、
なかなか見つかりません。

「どうしよう」・・・って幹事さんと相談していると、
幹事さんの携帯が鳴ったんです。

「Tさん! 何処にいるの? 
 皆で探してるんだよ。携帯もつながらないし」

「鳥居の近くのお土産屋さんよ。
 Yさんはバスに携帯忘れたし、私の携帯は電源切れたから、
 今も公衆電話で電話してるの!」

「はいはい。じゃぁ、すぐ行くからね。」

で、
幹事さんと私の2人が走って行ったんですが、
いざ、お土産屋さんに着いてみると2人ともいません。
付近を探しても見当たらないんです。

「鳥居の近くのお土産屋さんって、ここですよね。」
「そうだよなぁ〜、何処行ったんだろ?」

その時、
幹事さんの携帯が再び鳴って、

「あっ、Tさん! 
 鳥居の近くのお土産屋さんに来てるんだけど、何処にいるの?」

「うん、来るの遅いから、2人で少し移動したのよ。
 今、伊勢うどんのお店の前にいるわ」

「伊勢うどんのお店? 何て名前の?
 うん、分った、すぐ行くから待っててね。」

どうやら、
どこかで2人とすれ違っていたのに気付かなかったんですね。
幹事さんと私、
今度は来た道を駆け戻って、伊勢うどん屋さんの前に・・・

「いませんねぇ〜」
「いないねぇ〜」
「また、移動したんでしょうか?」
「何で、ジッとしといてくれないのかなぁ〜」

その時、
またまた幹事さんの携帯が鳴って、

「あっ、Yさん! 今、何処?」

「うん、もうバスに乗ってるのよ! 
 他のツアーのガイドさんに、バスまで連れてきてもらったのよ。」

「えっ、そうなの!」

「それより、2人とも、早く帰ってらっしゃい。
 添乗員さんと幹事さんがいないと出発できないじゃないの!」

「・・・・」