『旧館の客室』 
心配猫さんの投稿
(原文のまま)


有名な老舗旅館に
団体旅行で泊まったときのことです。

この旅館は、旧館と新館をうまくつなげて建ててあるようで
通された客室は、
一階の豪華なロビーから一転して驚きのしょぼさでした。

安い料金の団体客は、この旧館の客室になるようでした。

今時、
ドアの鍵がドアノブの真ん中についている押しボタン式。
ソファーも昭和50年代を感じさせます。

トイレはかろうじて洋式でしたが、
他の部屋と比べて天井が低く、なんだか狭苦しいもの。

私の勘ぐりかもしれませんが
壁を一つ覆っているようなのです。

そして、
トイレに腰かけて飛び込んできたのが

すぐ目の前の壁の

「タスケテ」

・・・と、カタカナで彫られた字でした。

この字が非常に気持ち悪かったのですが
イタズラだと思うことにしました。

しかし、夜中のことです。

日本間の布団に入ったのですが
私だけなかなか寝付けずにいました。
すると、

ギィーギィーギィー

・・・と左右に揺れるような、かなり大きな音がするのです。

起きていたときにはまったく聞こえなかったはずです。

日本間のとなりの古いソファーの置いてある洋間の方から聞こえてきます。

洋間のすぐ壁向こうが例のトイレです。

怖くて怖くて布団から出ることもできず、

きっと「あの音」なんだろうなと

なんとなくわかってしまう重みのある音でした。