「安い宿」
くまさんの投稿
(原文のまま)


10年前、
東京の実家を離れて関西の大学に通っていたころのことです。

大学は神戸だったのですが、
京都へは日帰りでしょっちゅう遊びに行っておりました。

そこで、期末試験が終わった直後に、
友人達と京都で、いつもは日帰りですが、
せっかくだから泊り込みで飲んで遊ぼう!!ということになりました。

そこで、
言いだしっぺの私が楽天トラベルで宿探しをして、
あるホテルを見つけました。

それは、東山七条の三十三間堂に近い某ホテルです。

当時、素泊まりで「4200円」でした。

今思えば、
極端に安いホテルは止めた方が良いと思うのですが、
当時は学生。

「安い!! 学生向けの価格だ!!」

・・・と、即決で予約してしまいました。

当日、
私を含め4人で宿に着いたのですが、
部屋に入ったとたん、何とも言いがたい違和感を覚えました。

4人ということもあり、とても広い部屋なのですが、
和室に無理やりベッドだけの洋室をくっつけた造りの部屋を、
初めて見たから違和感感じたのだろうと、気にしないことにしました。

大浴場は広くて、この安さで有難いなあと思っていました。


夜になり、
買い込んだお酒やお菓子を口にしながら友人をしゃべっていると、
なんだか背後が気になるのです。

そのときは壁にテーブルをくっつけて、
床の間に背を向ける形で私達はしゃべっていました。

その床の間から、
「大人2人の」気配と、強い視線を感じるのです。

殺意、悪意は感じませんでしたが、
私達をジーッと観察しているような、そんな強い視線でした。

振り返って、床の間を見ても、誰もいません。

掛け軸も、何の変哲もない植物の絵だったと思います。

でも、誰もいないけれど、
確かに強い視線と気配を感じるのです。

「深夜だし、きっとお酒飲んでるせいだな」

とやりすごすことにしましたが、
無意識に「1人で泊まらなくて本当に良かった」と思いました。

しゃべり疲れて全員眠ってしまい、
朝になるとすっかりその気配は消えていました。

後日、
一緒に泊まった友人に霊感が強い子がいたので、
その子と2人きりのときに

「あそこの宿、何か『いた』よね?」

・・・と聞くと、暗い表情で

「うん…私もハッキリ視えたわけじゃないけど、
 宿に入ったときから何か全体的に暗くて。ヤバイなと思った」

・・・と言われました。

その話をして別れた後、
友人はなぜか片方の肩がズシッと重くなったそうです。
同じモノかどうかわかりませんが。

また、
お世話になっていた大学教授が京都出身だったので、
その話をしてみると

「あそこは出てもおかしくないね〜
 近くの女子大(確か京都女子大)で講師でいくことあるけど、
 周り耳塚とか、やばいのに囲まれてるからね。」

・・・と言われました。