「箱根のホテル」
さんぺいさんの投稿
(原文のまま)


もう15年ほど前のことですが、
当時付き合っていた人(今は家人)と箱根に遊びに行った時・・・。

たしか、
強羅あたりの(ロープーウェイ近くだったと思いますが)
古びたホテルに泊まったことがありました。

当時は旅行というと、
いつも行き当たりばったりで現地に着いてから宿泊先を探しては泊まる
・・・というような旅行をしていました。

その時も芦ノ湖で遊んだ後で公衆電話で電話帳を見ながら、
そのホテルへの宿泊予約をしたと記憶してます。

土曜日でなかなか空き宿が見つからず、
かなりあちこちに問い合わせて、ようやく宿泊先を定めました。

ホテルのロビーに入った時から
「なんとなく空気が重い」ような気がしてましたが、
これからまた別の宿を探す気にもなれなかったので
あまり気にも留めないようにして部屋に入りました。

部屋に足を踏み入れた途端、
いままっで感じていたよりもさらに「重い空気」を感じました。

それまでも多少は「見たり感じたり」することはあったので、
家人に「ここなんか辛気くさいね」などと話したのを憶えています。

夕飯と風呂を済ませ、
部屋でワインを飲んで過ごし、11時頃ベッドに入りました。

壁よりのベッドに二人で寝ていたのですが、
なんとなく寝付きが悪く私は眠れずにいました。

そのとき突然、
金縛りに合いました。

ちょうど壁に背中を付けるようにして家人に腕枕にしていたのですが、
背中をつけている壁の中から男のうめき声が聞こえてきました。

その声はなんとも表現できないような苦しげな声でした。

声はだんだんと壁の中からではなく
部屋の中(寝ている頭上あたり)から聞こえてくるように感じました。

目をつぶっていたのですが、
声の聞こえて来る方を見たら「ヤバイ」と本能的に思い、
ずっとつぶったまま時間が過ぎていきました。

おそらく10分くらい経ったと思いますが、
突然「ふっ」という感じで金縛りが解けました。

その途端腕枕をしていた家人が、がばっと起きあがりました。
部屋中の電気をつけてから家人に聞くと

「いままで金縛りに合っててうめき声が聞こえた」

・・・といいました。

私にも同じことが起こっていたことを家人に告げると

「やっぱりココ変だと思ってたよ」

・・・と彼女も言ってました。

その日はその後何事もなく、
翌朝チェックアウトする時にフロントで

「このホテルで亡くなった方がいるでしょう」

・・・と問いつめましたが曖昧に言葉を濁していました。

なんというホテルだったか忘れてしまいましたが、
おそらくまだ営業しているのではないかと思います。