「きっかけ」
お月さんと一緒さんからの投稿
 (投稿原稿の内容を尊重しつつMoMoがリライトいたしました)


私は元々、霊の存在など全く信じていなかったのですが
ある出来事をきっかけに、霊を信じるのはもちろんの事、
霊をハッキリ見る事が出来るようになったんです。

それは、
私が27才の時、重い病気にかかり某国立病院に入院した時の出来事です。

その時、
私は病状が芳しくないという事で個室に入っていたのですが、
入院した日の晩、深夜に人の気配で目が覚めたんです。
いえ、
気配という曖昧な感じじゃなく、明らかに誰かがいる様子なんです。

「誰かいるの?」

声をかけても返事はなく、
部屋中見渡しても誰もいません。
看護士さんが見回りに来たわけでもありません。
(気になったので、看護士さんにそれとなく聞いてみたんです。)

私は、
初めての入院、それも病気が重いというストレスから
ありもしないものを感じたのかな・・・と思っていたのですが、
その後も毎晩のように、深夜、人の気配で目が覚めたんです。
それも、いつも同じ時間に。

病状も安定し、
やっと心電図がはずれて、身動きが出来るようになった夜の事。
やはり、
深夜に人の気配に目を覚ましたんです。
昨夜までは、
身体が自由に動かせなかったので、
その気配を確認する事は出来なかったんですが、
今では起き上がる事が出来ます。

「誰?」

起き上がった私の目に飛込んできたのは、
見知らぬお爺さんが点滴を押しながら近付いてくる姿。
でも
何故か怖さというものを感じず、
じ〜・・・っとお爺さんに見いってしまいました。

お爺さんは
ベットのすぐ横まで近付いてくると
ベッドのまわりを2回まわり、そのまま、ス〜ッと消えていきました。

翌朝、
看護士さんにその事を話すと
「そのお爺さんって、もしかしたらKさんかも。」
Kさんというのは、
私がこの個室に入る前日にこの個室で亡くなった方でした。
肝臓がんだったそうです。

その夜、
また、お爺さんは私の前に現れました。
そう、いつもと同じ時間です。

「Kさん、あなたは、もう亡くなっているんですよ。
 もう、これ以上苦しまなくていいし、入院してなくてもいいんですよ。
 成仏してください。」

私は、近付いてくるお爺さんに手を合わせながら言いました。
すると、
お爺さんはピタッと立ち止まり、
私の顔をしげしげと見つめると、うっすらと笑みを浮かべ、
そして、
消えてしまいました。

その後、
私が退院するまで、
お爺さんの霊が現れる事はありませんでした。