「迷子」
滋賀県 O市
琵琶湖畔の大きなホテル

滋賀県と言えば、やはり琵琶湖ですよね。
言うまでもなく日本一の湖であり、関西の水がめです。

あっ、そうそう
最近は毎年夏になると水不足になりますよね。
いよいよ水が少なくなってくると、給水制限ってことになるんですけど、
関西の場合は、
滋賀県⇒京都⇒大阪の順番で給水制限が行われます。
水源の琵琶湖がある滋賀県が一番に給水制限を受けるんですよ。
水先権?だったか何だったか名前は忘れたんですけど、
大阪や京都のほうが
琵琶湖の水を優先的に使う権利があるんですって・・・・。

ちょっと話がそれちゃいましたね。
えぇ〜と・・・
滋賀の温泉地、観光地は、この琵琶湖を囲むように点在しています。
このホテルも
そういった観光温泉ホテルのひとつ・・・です。
京阪神からの足の便もよいことから、
家族ずれの観光客でいつも賑わっています。

MoMoが地元の婦人会の旅行に添乗したときの出来事です。

その日は・・・
いえ、その日も雑用に追われ、やっと落ち着いたのは11時過ぎ・・

「よぉ〜し・・・、風呂入って、ビール飲んで、寝るぞぉ〜」

・・・ってなことで、

「ビィ〜ル♪、ビィ〜ル♪、風呂入ってビィ〜ル♪」

・・・と、
鼻歌交じりに大浴場に向かったんです。
大浴場の前で来ると、
パジャマを着た2〜3才の女の子が1人で泣いているんです。

「あれぇ、どうしたのかなぁ・・? パパかママは・・?」

「わかんない・・・」

ふぅ・・・こりゃ迷子ね。
大きなホテルや旅館の場合、迷子は珍しくないんです。

「お部屋の番号わかるかなぁ?」

「わかんない・・・」

「じゃぁ、お名前は?」

「アンナちゃん・・・」

「そう、じゃぁ、アンナちゃんの上のお名前は何かな?」

「わかんない・・・」

・・・うぅ〜ん
2才児に苗字を聞いてもダメか。
まっ、フロントに連れて行けば大丈夫よね。
パパやママも探してるだろうし・・・

「じゃぁ、お姉ちゃんと一緒に、パパとママの所に行こうねぇ」

「うん」

そこで、
アンナちゃんと手をつないで、フロントに向かったんです。

「アンナちゃんのパジャマ、セラームーンよねぇ・・・、
 アンナちゃんはセーラームーン好きなのかなぁ?」

「ウン、大好き!!」

「そう、お姉ちゃんの妹も小っちゃい時、大好きだったのよぉ」
 (yukiちゃんのことです・・・従姉妹って言っても解らないだろうし・・)

「ほんとぉ、アンナちゃんも!!」

セーラームーンって、
この間まで再放送してたし、今、実写版も放映してるから、
小さい女の子にはスゴイ人気なんですよ。

そうこうしている内にフロントに到着。

「すみませ〜ん・・・迷子なんですけど」

「はい、あっ、ご苦労様です。」

「この子、迷子なんですけど、親御さんから連絡入ってますか?」

「この子って・・・? どの子・・・ですか?」

「いや・・・だから、この子・・・」

・・・と、アンナちゃんがどこにもいないんです。

「あっ、あれ・・・、今、ここに女の子いましたよね。
 私・・・・、手をつないで一緒に来ましたよね・・・・・?」

「いえ、始めからお1人でしたが・・・」

「そんな・・・・・・」


後日・・・・、
知り合いのガイドさんに聞いたのですが、
10年ほど前に、大浴場で、母親が洗髪をしている数分の間に
2才の女の子が浴場内で溺れて亡くなるという事件があったそうです。
そういえば、
あのセーラームーンのパジャマ・・・
yukiちゃんが小さい時に着ていたものと同じだったような・・・

いずれにしろ、その女の子は、
今でも大浴場の前でお母さんを探しているのでしょうね・・・きっと。