「コンテナ」
関西地方 某港湾施設


先日、関西の某商店街の懇親旅行に添乗した時に
お客様のHさんからお聞きした話です。

Hさんは50代後半、不動産屋さんの社長です。

Hさんが大学生の頃と言いますから、
今から約35年前、昭和56〜7年の出来事です。

当時、Hさんは
関西の某港湾施設で警備のバイトをしていたそうです。

深夜、
貨物コンテナの集積場所を見回っていると
1つのコンテナの中から何やら物音が聞こえてきたそうです。

ゴソゴソゴソ・・・

耳を澄ませてみると、
何かが動いているような音がします。

「動物かなんかを輸入したのかな?」

・・・と独り言を呟きながら、
そのコンテナを、

コン、コン

・・・と叩いたんです。

すると、コンテナの中から

コン、コン

・・・と叩き返してきたんです。

「えっ?」

Hさんは自分の耳を疑いながらも、もう一度

コン、コン

すると、また、コンテナの中から

コン、コン

確信を得たHさんが少しリズムを変えて

コン、ココン、コン

・・・と叩くと

コン、ココン、コン

・・・とコンテナの中から返ってきます。

誰かが・・・人間が閉じ込められている!

そう考えたHさんは、無線で警備員室に連絡をしたんです。

「主任、変なコンテナを見つけたんです。
 中から物音が・・・いえ、中に人がいる様なんです。
 もしかしたら、何かの事件なのでは・・・」

Hさんがそこまで話すと、主任はHさんの言葉をさえぎる様に

「あぁ〜、それは、そのままで良いんだ。 気にするな。
 それより、他を廻って早く戻ってこい」

・・・と。

警備室に戻ったHさんが改めて尋ねても、
主任は同じ言葉を繰り返すだけだったそうです。

そして翌早朝、
バイトを終えたHさんが、
帰宅する前に、もう一度、そのコンテナを見に行ったところ、
そのコンテナは跡形もなく消えていたそうです。

もちろん、
コンテナを移動させるような物音(トラック、クレーン等)は、
一晩中、一切なかったそうです。


一体、あのコンテナは何だったのでしょうか?

・・・ってお話でした。