「花火」


東京の某旅行会社の女性添乗員Sさんに伺った話です。

Sさんが大学3年生の夏、
女友達4人で神奈川の某海水浴場に1泊2日で遊びに来ていました。

「はぁ〜い! 一本ずつ取ってねぇ〜。」

4人は夕食の後、
2000円位の花火セットを買って、海岸で花火を始めたんです。

それぞれが一本ずつ花火を取って、ロウソクの火で点火します。

「きれいねぇ〜」
「ホントぉ〜」
「夏休みって感じね」

「あっ、消えちゃったぁ〜」
「次、次ぃー!」
「もう一本ねぇ」

・・・といった感じで、
キャーキャー騒ぎながら花火を楽しんでいたのですが、

「あれ?」

Sさんは妙な事に気づいたのです。
自分の花火が消えたので、新しいのを取ろうとした時
目の前に4本の花火が美しく燃えていたんです。

「どういうこと?」

Sさんは、花火の灯りに仄かに映える友人達の顔を確認します。

Aちゃん・・・Bちゃん・・・Cちゃん・・・

そして・・・、
4本目の花火の上には顔はなく、肘から先の腕だけ

「きゃぁーーー!!」

「な、何よ。 ビックリするじゃないの?」
「どうしたの?」

「は、花火・・・4本目が・・・腕だけ」

Sさんは、4本目の花火を指さしました。

「きゃぁーーー!」
「いやぁーーー!」

4人は一目散にその場から逃げ出したそうです。

そして、海岸から離れる時、花火をしていた場所を振り向くと、
10本ほどの花火が空中で燃えていたそうです。

人影1つないにもかかわらず・・・