「炎の予言」
中部地方 Sホテル


トイレで大きい方をした後、
エチケットの為にマッチを擦るという事ってありますよね。

この話は、今から20年以上前
私の上司が27才の時、まだ添乗に出ていた頃の出来事です。

その日、彼はN県のSホテルに来ていました。

2〜3日前から胃腸の調子が悪かったこともあって、
ロビー近くのトイレで大きい方をした時に匂いが結構強かったんです。

「あぁ〜、マッチ持ってきたら良かったぁ〜」

・・・と思いつつ、トイレットペーパーに手をやると、
トイレットペーパーの予備ホルダーの上にホテルのマッチ箱

「あれ〜、トイレ入った時にマッチなんかあったっけ?」

何とも不思議な感じはしましたが、
渡りに船ということで、早速、マッチを擦ったんです。
すると、

ボォーー!!

・・・っと、1mもの大きい炎が上がったんです。

「うわぁーー」

彼は思わずマッチをタイルの床に投げ捨てたのですが、
マッチの火は消える事なく、徐々に形を変え、男の顔になったんです。

「あ・・・あ・・・」

彼はあまりの事に声もでず身動き一つできません。
炎の男は

「お前の運命の女は右足の内股に小さな赤いアザがある」

・・・と、予言めいたことを言うと、スッと消えてしまったそうです。

「な・・何なんだ、今のは? ゆ、幽霊? 妖怪?
 運命の女だって・・・? 俺の将来の嫁さんのことか?」

でも、
この言葉は彼の頭にズッと残っていて、
以降は、彼はつき合う女性の内股がトラウマ的に気になって、
ベッドを共にしては、

「違う。 この子じゃないんだ」

・・・といった感じで
次々と女性を乗り換えていったそうです。
(上司は50代の今でもイケてますので若い頃はモテたと思います)

「この子も違うなぁ〜」

そうこうしている内に、5年以上経ち、彼が33才の時、

「いつまで一人でいる気! さっさと結婚しなさい!」

・・・と、親戚の紹介でお見合いし、3ヶ月のスピード婚。

そして、初夜・・・

「こ、このアザ、どうしたの?」

「ほら、昔から言うじゃないの。
 赤ちゃんがお腹にいる時に火事を見たら、赤いアザができるって。
 私もそうらしいの。」

まさに、炎の予言だったんですね。