「幽霊なんかいない」


後輩のM君の大学時代の体験談なのです。

彼も、私と同じ京都の大学に通っていて、
ある暑い夏の深夜、友人と4人で京都でも有名な心霊スポット

「M池」

・・・にやって来たんです。

この池、池というよりは沼っぽい感じで気味悪いんですよね。
あの有名な「タクシー幽霊」の発祥地だったりもします。

池のほとりの深い木々の中に分け入って、懐中電灯を消し

「おぉ〜、真っ暗だな。」

「あぁ〜、自分の手も見えないや」

「ただでも気味悪いのに、暗いと本当に出そうな感じだな」

「何言ってんだよ。幽霊なんかいるわけないだろ」

そうなんです。
4人の中の1人、K君は「幽霊否定派」なんです。

「でも、ココ、有名なんだぜ」

「いない、いない、いるわけないやん」

「お前なぁ〜」

「まぁ、まぁ、しばらく待ってみようぜ」

そして、
幽霊が出るのを待つこと小一時間

「出ないな」

「もう少し待ってみようぜ」

「そうだな、もうスグ、丑三つ時だしな」

すると、幽霊非定派のK君が

「初めから幽霊なんかいないって言っただろ!
 バカバカしい! 帰るぞ!!」

その時

「うわぁーー!!」

K君以外の3人は、
大きな悲鳴を上げて、尻もちをついてしまったんです。

「お前ら、何、叫んでんだよ?!」

「で、出たーー」
「お、お前の後ろぉーー」

「バカかお前ら。 幽霊なんかいるわけないだろ」

「じゃ、じゃぁ、ふ、振り向いてみろよ」

「幽霊なんかいないんだよ!」

そう言いながら振り向くK君。
木の枝にぶら下がる、制服姿の男子高校生らしき幽霊とバッチリ目が合って

「よ、よぉ〜、何してんだ? こんな時間に」

そして、3人の方に向き直って

「ほら見ろ! 幽霊なんかどこにもいねぇじゃないか!」

・・・と強がってみせるK君の顔面は蒼白で、思いっきり涙目

しかし、次の瞬間、
K君は、3人を置き去りしてに一目散に逃げて行ったそうです。

もちろん、3人もスグその後を追って逃げ出したそうです。

「M池」・・・やっぱり出るんですね。